成績の悪い生徒は塾の「お客さん」か?

進学塾で成績の悪い生徒は「お客さん」である、という話はよくあります。「お客さん」とは、「ただお金を払ってくれる人」という皮肉が込められた言葉です。具体的にどこで書かれている、とは言いませんが、「進学塾 お客さん」などで検索すればそのような話が書かれたページがたくさんでてきます。そして、進学塾は成績の悪い生徒を食い物にしている、という話がまことしやかに語られています。

しかし、成績の悪い生徒は本当に「お客さん」なのでしょうか?

私はこの話は一部は本当であるが、しかし一部では嘘だと思っています。

まず、塾が成績の悪い生徒を「お客さん」扱いしている、というところは嘘だと思います。成績の悪い生徒を「お客さん」扱いしているというと、まるで講師が生徒を適当にあしらっているかのようです。そして実際にそのように書いている人もいます。しかし、実際に教室に入る講師は、成績の悪い生徒に対しても熱心に教えています。これは私だけではなく、まわりの講師も同じです。講師という人間は、教えるということに情熱を持っているものです。

では、本当に成績の悪い生徒は「お客さん」ではないかというと、ちょっと後ろめたいところもあります。成績が下の方、特に一番下のクラスで教えていると、「この子はもう授業についていけないな」と思わせる生徒がいます。そして正直なところを言えば、そのような生徒は塾をやめるなり、もしくは中学受験自体をあきらめた方が良いだろうと思います。しかし、塾の立場としてそれを実際に勧めることはできません。

これまでの話をまとめるなら、塾は生徒を「お客さん」扱いはしない、しかし生徒を「お客さん」状態にしてしまうことはある、といったところでしょうか。

このように書くと、「状況のせいにしている。もっと責任を持つべきだ。」という批判が出てくるかもしれません。確かにその通りだと思います。しかし塾にも限界というものがあるのです……。