子供の記憶力は高いか?

一般的に言われている話で、「子供の記憶力は高い」「大人になると記憶力が落ちていく」という話があります。

しかし、小学生に勉強を教えている私の経験からすると「全然そんなことはない」と思います。

彼ら・彼女らは、私が話したことをものすごい勢いで忘れていきます。最初に聞いたときには「なるほど!」とか「あー、そうか!」などと言っておきながら、1週間後には「なんだったっけ?」となることはざらにあります。数週間経つと、話を聞いたことすら忘れているといる状態です(クラスの数人だけが「あぁ、そういえば前にも聞いた」と反応してくれる……)。

では、なぜ「子供の記憶力は高い」と言われているのでしょうか?

この答えについて、私は「繰り返し繰り返し練習しているから」と考えています。

大人に比べて、子供は繰り返し練習することにそれほど苦痛を感じていないように思います。例えば、「間違えた漢字は3回練習してくる」という課題を出しても、子供は(多少文句は言ったとしても)律儀にやってきます。しかし、大人の場合は「3回は面倒だな」「まぁ1回でもう覚えたからいいや」などと思ってしまうのではないでしょうか。

ここでふと、子供は同じ絵本を何度も何度も「読んで」と言ってくることを思い出しました。もちろん、楽しい絵本と楽しくない漢字練習では違いはあるでしょう。しかし、「繰り返す」ということに対する意味は、やはり子供と大人で違うのではないかと思います。

単純な記憶力だけで言うなら、子供よりも大人の方が記憶力が高いのではないか、と私は思います。なぜなら、物事を関連づけて覚えることができるからです。実際私は、子供の頃の自分に比べて、今の自分の方がはるかに速く物事を覚えられる、という実感があります。

しかし、(私も含めて)大人は繰り返し練習することを嫌います。だから、最終的に記憶に残らなくなってしまうのです。それに対して、子供は繰り返し練習をします。だから、たとえ関連づけて覚える力は弱くても、最終的に記憶に残っているのではないか、と思います。

※脳科学的にどうこうという話もあると思いますが、ここでは経験則として書いています。